引越し時期で迷ったとき、いちばん頼りになるのは公的な実数です。総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告によると、2025年に市区町村をまたいで住民票を移した人がもっとも多かったのは3月の90万5,179人でした。
いっぽう、もっとも少なかった11月は30万9,853人。その差は約2.9倍です。混み合う月は、はっきり数字に表れます。12か月分の実数と国土交通省が公表した春の予約状況から、月の選び方を整理します。
引越し時期は何月がいい?公的データが示す答え
結論から言うと、予約枠を確保しやすい月は11月と1月です。反対に3月と4月前半は、全国の移動が一年でもっとも集中します。
2025年の市区町村間移動者数は、年間で519万548人でした。単純に12で割ると1か月あたり約43万2,500人。この平均を基準にすると、各月の混み方が数字で見えてきます。
| 月 | 市区町村間移動者数(2025年) | 月平均との比 |
|---|---|---|
| 1月 | 32万7,312人 | 0.76倍 |
| 2月 | 35万7,056人 | 0.83倍 |
| 3月 | 90万5,179人 | 2.09倍 |
| 4月 | 68万3,859人 | 1.58倍 |
| 5月 | 38万2,823人 | 0.89倍 |
| 6月 | 37万1,648人 | 0.86倍 |
| 7月 | 39万8,417人 | 0.92倍 |
| 8月 | 34万8,602人 | 0.81倍 |
| 9月 | 36万7,877人 | 0.85倍 |
| 10月 | 37万9,751人 | 0.88倍 |
| 11月 | 30万9,853人 | 0.72倍 |
| 12月 | 35万8,171人 | 0.83倍 |
※ 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」各月結果の市区町村間移動者数(移動者)。月平均との比は年間519万548人を12等分した値との比較です。
3月だけが飛び抜けて多い
3月の90万5,179人は、月平均の約2.1倍にあたります。国土交通省も「3月の引越件数は通常月の約2倍」として時期の分散を呼びかけており、統計と行政の見方は一致しています。
4月も68万3,859人で平均の約1.6倍。ただし4月の多さは月の前半に偏っています。後半にかけて落ち着く点は、後で触れる予約状況の資料でも裏づけられています。
少ないのは11月・1月・8月
移動者数が少ない順に並べると、11月30万9,853人、1月32万7,312人、8月34万8,602人が上位に来ます。11月は3月の約3分の1という水準です。
ここで気をつけたいのは、移動が少ないことと料金が安いことは別だという点です。同じ11月でも、月末や土日、荷物量、建物条件によって見積額は動きます。
移動が少ない月は、予約枠を取りやすい月です。料金そのものは距離、荷物量、曜日、建物条件で決まるため、月だけでは決まりません。
2026年も同じ形が続いている
2026年は1月32万8,136人、2月35万6,713人、3月91万6,197人、4月67万7,740人、5月36万4,443人、6月38万3,643人と推移しました。3月の突出は変わっていません。
むしろ2026年3月は、前年同月より約1万1,000人増えています。春に集中する形は一時的なものではなく、毎年繰り返されていると見てよさそうです。
引越し時期ランキング|予約の取りやすさで並べる

以下の順位は料金の安さではなく、移動者数の少なさで並べたものです。実数が近い月はまとめました。数字が接近している月同士は、順位の差をあまり気にしなくて構いません。
| 順位 | 月 | 月平均との比 | 押さえておく点 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 11月・1月 | 0.72〜0.76倍 | 寒さ、年末年始の営業日 |
| 2位 | 8月・2月・12月 | 0.81〜0.83倍 | 暑さ、雪、年末の処分期限 |
| 3位 | 9月・6月・10月・5月 | 0.85〜0.89倍 | 連休、台風、梅雨 |
| 4位 | 7月 | 0.92倍 | 夏休みの家族需要 |
| 5位 | 4月 | 1.58倍 | 前半が混雑、第2週以降は緩む |
| 6位 | 3月 | 2.09倍 | 全国でもっとも集中する |
1位:11月・1月|一年で最も動きが少ない
11月と1月は、どちらも30万人台前半。年度の切り替えからも夏休みからも離れているため、日程の相談に応じてもらいやすい時期です。
ただし1月は年末年始を挟みます。引越し事業者だけでなく、管理会社やライフライン各社の営業日も並べて見ておくと、手続きが止まりません。寒冷地なら雪と凍結、日没の早さも作業に関わってきます。
2位:8月・2月・12月|34万〜35万人台で落ち着く
この3か月は34万〜35万人台で、月平均を2割ほど下回ります。8月はお盆と夏休み、12月は年末年始、2月は月の後半から春の相談が増えるという事情はありますが、全国で見れば混雑の山からは外れています。
8月を選ぶなら、新居でエアコンを使えるかを先に押さえてください。取り付け工事と引越し当日が別になると、初日の生活がかなりつらくなります。
3位:5月・6月・9月・10月|平均を少し下回る
36万〜38万人台の4か月です。春の集中が終わった直後の5月、梅雨の6月、年内入居を見据える9月と10月がここに入ります。
この時期の変動要因は天候です。梅雨や台風の時期は、搬出入時の雨対策、建物の養生、段ボールや家電の扱いまで含めて相談しておくと当日に慌てません。大型連休の前後と月末も希望が重なりやすい条件です。
4位:7月|夏休みで家族の需要が乗る
7月は39万8,417人で、月平均にほぼ並びます。転校や通学の区切りを作りやすいため、家族の引越しが集まりやすい月です。
暑さのなかで荷造りと搬出入をこなす負担も見ておきたいところ。作業日を午前便にできるか、飲み物や休憩の場所を確保できるかまで考えておくと安心です。
5位:4月|第2週以降がねらい目
4月は月合計では平均の約1.6倍ですが、混雑は上旬に固まっています。国土交通省は4月第2週以降について、比較的余裕がある状況だと明記しています。
新年度の開始に間に合わせたい人にとって、ここは現実的な逃げ道です。入社日や入学日から数日だけ後ろにずらせるなら、候補として一度検討する価値があります。
6位:3月|順位より日程確保を優先する
3月は進学、就職、転勤、入退去の切り替えが一斉に重なります。とくに下旬は、月末と土日を中心に予約が埋まりやすくなります。
この月しか選べないなら、順位を見比べる意味はあまりありません。土日と月末以外に平日、午後便、時間指定なし、前後の日程まで候補を広げて、早めに相談を始めるほうが効きます。
引越しの繁忙期はいつ?国が公表した春の予約状況
国土交通省は2026年3月13日、公益社団法人全日本トラック協会の協力を得て、大手引越事業者から聞き取った令和8年3月〜4月の引越予約状況を公表しました。基準日は2026年2月24日です。
この資料で国土交通省は、4月第2週以降は比較的余裕がある状況と明記し、時期の分散を呼びかけています。3月下旬から4月上旬にかけては、月末と土日を中心に混雑が集中します。
3月しか無理だと思っていても、4月第2週まで待てるかどうかは一度だけ考えてみる価値がありますよ。
時期をずらした人からは何が語られているか
同じ資料には、分散引越をした利用者の声も載っています。「3月末の土日の引越と比べて、引越代金が安くなった」「3月の最終週から引越時期をずらすことで、予約が取りやすかった」といった内容です。
企業側からは「会社の従業員の引越に係るコストを抑えることができた」という声も紹介されています。いずれも国土交通省が公表した範囲での声であり、金額の水準まで示されているわけではありません。
運賃の水準そのものも上がっている
時期をずらす意味が以前より大きくなっている背景もあります。国土交通省は、燃料高騰なども踏まえて運賃水準を引き上げた令和6年3月告示の標準的運賃について、経済団体等へ理解と協力を求めています。
各運輸局の案内では、トラック運送事業がいわゆる2024年問題のさなかで人手不足を抱えており、3月はドライバーと車両の確保の面から対応が難しいとされています。単に需要が多いという話ではありません。
繁忙期の割高感を吸収しにくい環境だということです。時期以外に動かせる部分を探すなら、引越し費用が変わる条件もあわせて見ておくと選択肢が増えます。
| 時期・条件 | 予約の埋まり方 | 先に決めること |
|---|---|---|
| 3月下旬〜4月上旬 | 非常に混雑しやすい | 第3候補までの日程 |
| 4月第2週以降 | 国が「比較的余裕」と明記 | 数日ずらせるかどうか |
| 月末 | 退去と入居が重なる | 鍵の受け渡し時刻 |
| 土日・祝日 | 家族が動きやすく集まる | 平日を候補にできるか |
| 午前便 | 予定を組みやすく人気 | 午後便を許容できるか |
繁忙期を動かせないときの進め方

進学や転勤で3月が決まっている人は、ランキングを気にする必要はありません。動かせるのは日付だけではないからです。時間帯、荷物量、作業範囲にも幅があります。
候補日と時間帯に幅を持たせる
退去立ち会い、鍵の受け渡し、移動時間まで含めて、候補日の前後に余裕を作っておきます。搬出日と新居への到着日が同じ日でなくても成立するかどうかは、早い段階で決めておきたい点です。
荷物と追加作業を先に書き出す
荷物量、階段、エレベーター、駐車位置、梱包、エアコン脱着、不用品の扱いは、見積額と当日の流れを大きく左右します。大型品と附帯作業をメモにしてから相談すると、伝え漏れが減ります。
何から手をつけるか迷うなら、引越し準備を時系列で並べたリストから逆算するとスケジュールが組みやすくなります。
見積書の内訳と変更条件を読む
標準引越運送約款では、見積書に運賃等の合計額と内訳、支払方法、解約手数料の額、作業内容などを記載すると定めています。約款は見積り時に提示されるものなので、その場で目を通せます。
意外と知られていないのが、見積りの際に内金や手付金を請求されないという定めです。あわせて、事業者は受取日の3日前までに、見積書の内容に変更がないかを確認する決まりになっています。
日程を変えるなら前々日までに連絡する
ここは繁忙期にこそ効いてくる部分です。標準引越運送約款で解約手数料や延期手数料を請求できるのは、利用者側の都合で、その連絡が受取日の前々日、前日、当日に行われたときに限られています。
| 解約・延期を伝えた日 | 手数料の上限 |
|---|---|
| 受取日の前々日より前 | 手数料は発生しない |
| 受取日の前々日 | 見積運賃等の20パーセント以内 |
| 受取日の前日 | 見積運賃等の30パーセント以内 |
| 受取日の当日 | 見積運賃等の50パーセント以内 |
※ 標準引越運送約款(平成2年運輸省告示第577号、最終改正 令和7年国土交通省告示第193号)第21条。改正前は前日10パーセント以内・当日20パーセント以内で前々日の区分がなく、古い解説では数値が異なります。
3日前の確認を事業者が行わなかった場合、この手数料は請求されません。逆に、すでに着手した附帯サービスの費用は、見積書に明記されていれば手数料とは別に収受されます。
空き枠、料金、追加作業の扱いは個別条件で変わります。変更や延期の条件は、契約前に見積書と約款で確かめてください。
荷造りが終わっていないと当日が動かない
国土交通省は繁忙期のポイントとして、荷造りを余裕を持って進めること、段ボールが足りなくなったら早めに連絡すること、炊飯器やトースターのような小型家電も箱詰めしておくことを挙げています。
荷造りが途中だと、予定時間に作業を始められません。3月中旬から4月上旬はドライバーと車両の両面で余裕がないため、1軒の遅れがそのまま次の予定に響きます。
単身・家族・長距離で変わる月の選び方
同じ月でも、単身、家族、長距離では優先順位が入れ替わります。ランキングをそのまま当てはめる前に、自分の引越しがどの型に近いかを分けておきましょう。
家族の引越しは、当日より「新居で生活を始める日」から数えたほうが迷いにくいです。
単身は平日と午後便を武器にできる
荷物が少ない単身なら、平日や午後便を候補に入れる余地が広いはずです。運ぶ物と処分する物を早めに分けておくと、見積もりの前提を伝えやすくなります。
運び方そのものを見直す手もあります。単身引越しの費用と手間の比べ方を見ると、月をずらすより効く条件が見つかることもあります。
家族は新生活の開始日から逆算する
家族の引越しでは、転校、通園、仕事、荷ほどき、ライフラインの開始日まで絡んできます。引越し当日だけでなく、新居で寝る日や通学を始める日も同じ予定表に入れてください。
手続きの並べ方に迷うときは、家族引越しの優先順位のほうが月選びより先に効きます。
長距離は搬出日と到着日を分ける
長距離では、荷物の搬出日と到着日が別になることがあります。旧居の退去、新居への入居、宿泊、初日に必要な荷物を切り分け、到着日時の条件を相談前にそろえておきましょう。
時期を決めたら見積もりを同じ条件でそろえる

月が決まったら、次は金額を並べるだけで終わらせないことです。同じ荷物量でも、建物条件やオプションが違えば総額だけでは比べられません。前提をそろえてから見比べます。
| そろえる項目 | 伝える内容 | 見積書で見る場所 |
|---|---|---|
| 日程 | 第1から第3候補、時間帯 | 作業日、開始時間、変更条件 |
| 荷物 | 大型家具、家電、段ボール数 | 荷物量、車両、作業員 |
| 建物 | 階数、エレベーター、駐車位置 | 階段作業、養生、追加作業 |
| オプション | 梱包、エアコン、不用品 | 作業内容、金額、着手時期 |
一括見積もりは比較の入口として使う
候補を集める段階では、引越し侍の見積もりサービスやズバット引越し比較のような一括見積もりが入口になります。連絡方法の違いは先に押さえておきたい点です。
どちらを使う場合も、入力する条件をそろえるのが前提です。2社以上で料金と条件をそろえる手順まで踏むと、概算の金額に引っぱられずに選べます。
慌てる時期こそ記録を残す
国民生活センターは、オンライン見積もり後の積み残し、当日の追加費用、荷物の傷や紛失といった相談事例を紹介しています。急ぐ時期ほど、依頼内容と室内・家具の状態を写真で残しておくと後の話が早く済みます。
引越し時期に関するよくある質問
- 引越しの繁忙期はいつですか?
3月から4月にかけてです。2025年の市区町村間移動者数は3月が90万5,179人で、月平均の約2.1倍でした。国土交通省も3月の引越件数は通常月の約2倍としています。
- 引越しがいちばん少ない月は何月ですか?
2025年は11月の30万9,853人が最少で、次に1月の32万7,312人でした。どちらも月平均を2割以上下回り、3月と比べると約3分の1の水準です。
- 閑散期なら引越し料金は安くなりますか?
移動者数が少ない月は予約枠を取りやすくなりますが、料金は距離、荷物量、曜日、建物条件でも変わります。月だけで判断せず、同じ条件で複数の見積もりを比べてください。
- 3月しか引越せない場合はどうすればよいですか?
日程と作業可否の確認を先にして、候補日を第3候補まで用意します。平日、午後便、時間指定なしを受け入れられるかも整理しておくと、相談できる枠が広がります。
- 4月に引越すなら何日以降がよいですか?
国土交通省は2026年3月13日公表の予約状況で、4月第2週以降は比較的余裕がある状況だと示しています。数日後ろにずらせるなら候補に入れる価値があります。
- 引越しの日程を変えるとキャンセル料はかかりますか?
標準引越運送約款では、利用者都合の連絡が受取日の前々日で見積運賃等の20パーセント以内、前日で30パーセント以内、当日で50パーセント以内と定められています。前々日より前なら手数料は発生しません。
- 転出届はオンラインで出せますか?
有効な電子証明書付きマイナンバーカード等があれば、マイナポータルで転出届と来庁予定の連絡ができます。転入先の窓口での手続きが残る点も確認しておいてください。
根拠にした公的情報
この記事の月別データと繁忙期の判断は、次の公表資料に基づいています。予約枠や料金の実際の条件は、依頼先の見積書と約款が優先されます。
- 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」月次結果(市区町村間移動者数)
- 国土交通省「引越時期の分散に御協力をお願いします!」(2026年1月28日)
- 国土交通省「今年春に引越をご予定の皆様へ ~予約状況のお知らせ~」(2026年3月13日)
- 国土交通省「標準引越運送約款」(平成2年運輸省告示第577号/最終改正 令和7年国土交通省告示第193号)
- 国土交通省「引越時期の分散に向けたお願い」資料一覧
- 国民生活センター「引越トラブルにご注意」
- デジタル庁「引越し手続オンラインサービス」
まとめ
引越し時期を数字で見ると、答えはかなりはっきりしています。2025年の市区町村間移動者数がもっとも少なかったのは11月の30万9,853人、次が1月。もっとも多い3月とは約2.9倍の差がありました。
月を選べるなら、11月や1月を軸に候補日を組むと予約枠を確保しやすくなります。3月から動かせない場合でも、4月第2週以降という公的な逃げ道があります。
そして月が決まった後にやることは変わりません。退去日、入居日、荷物量、建物条件、附帯作業をそろえ、同じ前提で見積もりを比べる。ここまで踏めば、繁忙期でも無理のない一日を選べます。

