大雪山の雄大な自然に抱かれた、北海道上川郡東川町。近年、その豊かな自然環境とユニークな町の魅力から、移住先として絶大な人気を誇っています。この「写真の町」での新しい生活に、胸を膨らませている方も多いのではないでしょうか?
しかし、いざ引越しとなると「何から始めればいいの?」「費用はどれくらいかかる?」「北海道ならではの注意点ってある?」など、たくさんの疑問や不安が湧いてくるものです。特に、東川町のような特色ある地域への引越しは、事前の情報収集が成功のカギを握ります。
この記事では、東川町への引越しを検討しているあなたのために、地域の特徴から引越し費用の相場、新生活の準備、そしてスムーズな手続きのコツまで、必要な情報を網羅的にまとめました。この記事を読めば、あなたの東川町での新生活が、よりスムーズで素晴らしいスタートを切れるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
北海道上川郡東川町への引っ越しの概要

地域の特徴と生活環境
北海道のほぼ中央に位置する東川町は、大雪山国立公園の麓に広がる、人口約8,500人の町です。この町の最大の魅力は、なんといってもその豊かな自然と、そこに根付く独自の文化にあります。
「写真の町」として全国的に知られ、毎年夏には「写真甲子園」が開催されるなど、アートやカルチャーが暮らしに溶け込んでいます。また、良質な木材に恵まれていることから「家具の町」としても有名で、町内には多くの家具工房やおしゃれなショップが点在しています。
そして、特筆すべきは全国で唯一、上水道がない町であること。町民は皆、大雪山の雪解け水が長い年月をかけてろ過された、ミネラル豊富な地下水を生活用水として利用しています。蛇口をひねれば天然水が出てくる、まさに贅沢な環境だと言えるでしょう。
気候・自然環境
東川町の気候は、典型的な内陸性気候。夏は30℃を超える日もありますが、湿度が低くカラッとして過ごしやすいのが特徴です。朝晩は涼しくなるため、熱帯夜に悩まされることはほとんどありません。
一方、冬の寒さは厳しく、1月や2月には気温が-20℃を下回る日も珍しくありません。積雪量も多く、一面が銀世界に変わります。この厳しい冬があるからこそ、春の訪れの喜びは格別。そして、ダイヤモンドダストやパウダースノーといった、この地ならではの美しい冬の絶景に出会うこともできます。

マイナス20℃!?想像がつかない寒さですね…。



はい、しっかりとした防寒着や住宅の断熱性能が重要になります。でも、その分、冬のアクティビティは最高に楽しいですよ!
四季の移ろいがはっきりと感じられるのが、東川町の自然環境の醍醐味。春は芽吹き、夏は緑が輝き、秋は紅葉に染まり、冬は静寂な雪景色が広がる。日々の暮らしの中で、日本の美しい四季を全身で感じることができるでしょう。
交通アクセスと利便性
「自然豊かな場所はアクセスが不便なのでは?」と心配する方もいるかもしれません。しかし、東川町は意外にも交通の便が良い場所です。
北海道第二の都市である旭川市に隣接しており、旭川市の中心部までは車で約30分。また、旭川空港は町内に位置しているため、飛行機でのアクセスは抜群です。東京(羽田)へも気軽に移動できます。
ただし、町内に鉄道の駅はありません。そのため、日常生活の主な移動手段は車となります。冬道の運転に備え、スタッドレスタイヤはもちろん、四輪駆動車があるとより安心です。
旭川市まで出れば、ショッピングやエンターテイメント、専門的な医療など、都市機能のほとんどを利用できます。自然に囲まれた静かな暮らしと、都市の利便性の両方を享受できる、バランスの取れた立地と言えるでしょう。


北海道上川郡東川町での引っ越し費用とサービス


地域の引っ越し業者の特徴
東川町への引越しを考えたとき、どの業者に頼めば良いのでしょうか。東川町内に拠点を構える引越し専門業者は限られますが、心配は無用です。隣接する旭川市には、全国展開する大手引越し業者から、地域に密着した中小の業者まで、数多くの選択肢があります。
大手業者は、プランが豊富で補償が手厚いのがメリット。一方、地元の業者は、地域の道路事情や気候に詳しいため、冬場の引越しなどでは特に心強い存在となることがあります。料金面でも柔軟に対応してくれる場合があるでしょう。
どちらのタイプが自分に合っているか、サービス内容や料金を比較検討することが重要です。まずは複数の業者から見積もりを取ることから始めましょう。
荷物量による料金の目安
引越し費用は、荷物の量、移動距離、そして時期によって大きく変動します。ここでは、道外(例:東京)から東川町へ引越す場合の、荷物量に応じた料金の目安を見てみましょう。
あくまで一般的な相場であり、オプションサービスの有無などによって金額は変わるため、参考としてご覧ください。
- 単身(荷物少なめ)
通常期:8万円~15万円
繁忙期:12万円~25万円 - 2人暮らし
通常期:15万円~25万円
繁忙期:20万円~40万円 - 家族(3~4人)
通常期:20万円~35万円
繁忙期:30万円~50万円以上
北海道への引越しは長距離になるため、どうしても料金は高くなる傾向にあります。特に、3月下旬から4月上旬にかけての繁忙期は、料金が通常期の1.5倍から2倍近くになることも。予算を考える上で、この時期の変動はしっかりと頭に入れておく必要があります。
時期による料金変動と節約のコツ
引越し費用を少しでも抑えたい、と考えるのは当然のこと。いくつかのコツを知っておくだけで、数万円単位の節約につながる可能性があります。
最も効果的なのは、引越しの時期をずらすことです。可能であれば、1年で最も料金が高騰する3月下旬~4月上旬は避けましょう。また、週末や祝日よりも平日のほうが安くなる傾向があります。業者によっては「午後便」「フリー便」といった時間指定をしないプランを選ぶことで、割引が適用されることも。
そして、何よりも大切なのが「相見積もり」です。必ず3社以上の引越し業者から見積もりを取り、料金とサービス内容を比較しましょう。他社の見積もり額を提示することで、価格交渉がしやすくなるケースも少なくありません。
引越しを機に、思い切って不用品を処分するのも賢い方法。荷物量が減れば、それだけ料金は安くなります。リサイクルショップやフリマアプリを活用して、お小遣いに変えるのも良いでしょう。


北海道上川郡東川町での新生活準備


住宅事情と家賃相場
移住先として人気の東川町では、住宅探しが新生活の第一関門となるかもしれません。デザイン性の高い新築住宅やリノベーション物件も多い一方で、賃貸物件の数は都市部に比べて限られています。



人気エリアだと、良い物件はすぐになくなっちゃいそうですね…。



その通りです。引越しを決めたら、できるだけ早く情報収集を始めるのがおすすめです。町のウェブサイトや移住相談窓口も活用しましょう!
家賃相場は、立地や築年数によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
- 1LDK:5万円~6.5万円
- 2LDK:6万円~8万円
- 3LDK:7万円~10万円
東川町では、町営の移住者向け住宅なども整備されています。町の公式サイトで最新の情報を確認したり、移住相談窓口に問い合わせてみたりするのも一つの手です。理想の住まいを見つけるためには、早めの行動と情報収集が不可欠です。
生活インフラと便利施設
東川町での日常生活は、不便なく送ることができるでしょうか。町内にはスーパーマーケットが数店舗、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンターなど、生活に必要な基本的なお店は揃っています。
特に「道の駅ひがしかわ『道草館』」は、新鮮な地元野菜や特産品が手に入る人気のスポット。多くの町民や観光客で賑わっています。また、個性豊かなカフェやレストランが点在しているので、外食を楽しむ場所にも事欠きません。
インフラ面で最も特徴的なのは、やはり「上水道がない」こと。各家庭が井戸を掘り、ポンプで地下水を汲み上げて利用しています。水質が良く美味しい水が無料で使えるメリットは大きいですが、ポンプのメンテナンスや故障時の対応は自己責任となる場合があります。物件を契約する際には、井戸やポンプの管理について必ず確認しましょう。
教育・医療機関の状況
子育て世代にとって、教育や医療の環境は重要なポイントです。東川町には、認定こども園、小学校、中学校がそれぞれ複数あり、待機児童の問題もほとんどありません。特に北海道東川高等学校は、全国から生徒が集まる公立の「写真の学校」として有名で、ユニークな教育を行っています。
医療機関については、町内に内科、歯科などのクリニックが複数あります。日常的な病気やケガであれば町内で対応可能です。ただし、夜間救急や専門的な治療、大きな手術が必要な場合は、隣接する旭川市の総合病院を利用することになります。旭川市には高度な医療を提供する病院が揃っているので、いざという時も安心です。


北海道上川郡東川町へのスムーズな引っ越しのために
東川町は、ただ自然が美しいだけの町ではありません。常に未来を見据え、新しい挑戦を続けている活気ある町でもあります。最近の動向として、2025年6月からスタートする「ひがしかわ若者ふるさと住民制度」は、若者が町と継続的に関わるきっかけを作る画期的な取り組みです。
また、プロサッカーチームであるセレッソ大阪が、東川町での新キャンプ構想を進めているというニュースも話題になりました。こうした動きは、町の魅力をさらに高め、新たな交流や活気を生み出すことでしょう。そんな未来への期待感も、東川町暮らしの魅力の一つです。
引っ越し前の準備事項
さて、いよいよ引越しの実践編です。スムーズな引越しは、計画的な準備にかかっています。以下のチェックリストを参考に、段取りよく進めましょう。
引越し準備チェックリスト
- 1~2ヶ月前:引越し業者を選定し、見積もりを取る。賃貸物件の解約手続き。
- 1ヶ月前:不用品の処分を開始。荷造りに必要な段ボールなどを準備。
- 2週間前:役所で転出届を提出。電気・ガス・水道(※)・インターネット回線の移転手続き。
- 1週間前:郵便物の転送届を提出。よく使うもの以外の荷造りを進める。
※東川町は地下水利用のため水道の開栓手続きは不要ですが、物件によってはポンプの電源を入れるなどの作業が必要な場合があります。事前に管理会社や大家さんに確認しておきましょう。
引っ越し当日の注意点
引越し当日は、特に冬場の場合、北海道ならではの注意点があります。
冬場の引越しでは、路面の凍結や積雪によるトラックの遅延も考えられます。時間に余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。また、新居の玄関前や駐車スペースの除雪が必要になる場合も。事前に大家さんや管理会社に確認し、必要であれば除雪道具を準備しておくとスムーズです。
そして何より重要なのが、新居での暖房です。入居後すぐに暖房が使えるように、事前に手配を済ませておきましょう。特に長距離の引越しの場合、到着が夜になることも。凍える体ですぐに暖が取れるかどうかは、新生活初日の快適さを大きく左右します。
引っ越し後の手続き
引越しが終わっても、まだやるべきことは残っています。大切な手続きを忘れないように、リストアップしておきましょう。
- 転入届の提出:引越した日から14日以内に、東川町役場で行います。マイナンバーカードや通知カードの住所変更も忘れずに。
- 国民健康保険・国民年金:加入対象者は、転入届と同時に手続きします。
- 運転免許証の住所変更:管轄の警察署または運転免許センターで行います。
- その他:銀行口座、クレジットカード、携帯電話、各種保険などの住所変更手続きも速やかに行いましょう。
新しい土地での手続きは少し面倒に感じるかもしれませんが、一つひとつ着実にこなしていくことが、快適な新生活の第一歩です。わからないことがあれば、遠慮なく役場の窓口で相談してみましょう。東川町は移住者に優しい町。きっと親切に対応してくれるはずです。
この記事が、あなたの東川町での素晴らしい新生活のスタートに、少しでもお役に立てたなら幸いです。